写真の二つは共にアシックスのシューズの箱です。中には25.5cmのランニングシューズが収められています。
左側の箱には本格的なスポーツシューズが、そして右にはスポーツスタイルのシューズが入っています。 右の靴は量販店を中心に販売する意図で作られたているため、バイヤーの要求で左のシューズとは基本的な構造が全く異なります。 |
左のシューズに比べて右のシューズはやや大きくずんぐりして見えるはずです。 また、右のシューズは履き口がやや多きく作られています。
双方の大きさが違うのは、右のシューズ(スポーツスタイル)が革靴と同じサイズ規格(次のページ参照)を採用しているからです。 また、ずんぐりとして見えるのは紐をしたままでも脱ぎ履きできるように土踏まず部のくびれを無くし、履き口を大きく広げたデザインに変更すると共に、靴の踵部(ヒールカウンター)を踵の形に成型せずに、外に開いた形に設計変更しているからです。 踵の成型にはヒールプラスターマシーンという機械を使った複雑な工程が必要で、時間も費用もかかります。従って、この工程をはぶくことは大幅なコストダウンにつながりますが歩行時の安定感やフィット感は失われます。 |
2つの靴を底面で踵の位置を合わせて床に置いて比較してみます。
この状態でもまず目に付くのが大きさの違いです。 次に、床板の線を対象にして左右の靴を比べると、つま先部の反りの大きさの違いが良く分かります。 左のシューズの方は立体的裁断と高度な縫製技術を駆使して作られています。 費用も時間もかかります。 つま先を大きく反らせた形に整形することで滑らかな重心移動と屈曲時にアッパーにできるシワを軽減する効果があります。 従ってフィット感は比較にならないほど良くなります。 そして、甲(インステップ)部の高さの違いも分かります。 |
最後に、後方からこの2足を比較してみます。
左(スポーツシューズ)が踵の丸みに合わせてヒールカウンター部を成型しているのに比べ、右(スポーツスタイル)では踵に合わせた成型は行われておらず、履き口は上方に開放されています。 左は十分に踵を拘束できるのに対し、右では踵を十分に拘束できないため、歩行時や走行時に踵にヒールカップが追随することが出来ません。これが踵にまめが出来る原因となります。 画像の比較では分かりませんが、両者の材質にも大きな違いがあります。左にはヒールカップの素材として高価ですが強度の高い熱可塑性樹脂が用いられています。しかし、右では強度の弱い樹脂を使用します。 |
紳士及び婦人革靴では オックスフォードタイプの紐靴 が良いでしょう。チェックする箇所は基本的にスポーツシューズと変わりません。 |
パンプス は足のラインを長く見せることを目的として甲を解放した構造のため、いかに履き心地の向上に努め、他の部分の改良を重ねても、足にとっては良い靴とは言えません。 |
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ローファー
は、元々、執務のため書斎で履くことを目的としてヨーロッパ貴族のために作られた靴です。
長時間椅子に座って執務をこなす貴族の足の血行を妨げないため甲を圧迫しないよう出来ています。 事務職のサラリーマンの方々がスリッパ代わりにオフィスで使用することには問題ありませんが、長い距離の歩行には向いていません。会社の行き帰りにはオックスフォードタイプの靴と履き替えることをお勧めします。 |