Q&A
Q and A
今春(2003年5月)、埼玉県にお住まいのKさんから、靴選びに関するご質問のメールをいただきました。
すぐに返事を差し上げたところ、私の回答に関連した新たなご質問のメールが届きました。
一つの質問にお答えすると新たなご質問のメールが届く、という事の繰り返しで、Kさんとのメールのやり取りは計8回12通に及び9月まで続きました。
Kさんからのご質問とそれに対する私の返事を全て読み返してみると、以前から作りたかった『Q and A』のページそのものになっておりました。
そこで、Kさんに了解を戴いて一連のメールのほぼ全文を使わせていただき、『Q and A』のページとさせていただくことにいたしました。
あえてKさんとの連続したメールのやり取りを『Q and A』のページとさせていただいたのにはもう一つ理由がありました。
どんな事柄も最初の一歩で間違った認識を持ってしまうと、そこから展開される総ての認識に狂いが生じます。
認識の根幹を修正することにより、間違った認識で組み立てられた理論は崩壊し、理論を再構築していく過程で、かならず次の疑問が生まれます。
『良い靴の選び方』と『正しい靴の履き方』に関する認識も同様です。
日本での靴と足のトラブルは西欧と日本の生活習慣の違いに端を発します。
西欧型の『靴』は『足袋(たび)や草鞋(わらじ)』と同類の履物です。そして『サンダル』や『スリッパ』は『下駄(げた)や草履(ぞうり)』と同類の履物です。
両者には『履き方』に大きな相違があります。
しかし、日本人の大多数が『靴』を『サンダル』や『スリッパ』の履き方で使用してしています。
そして、誰もがそれを『普通の履き方』だと考え、なんら疑問に思っていません。
ところが、この『普通の履き方』が日本人の足に多くの問題を発生させているのです。
従って、正しいルールに従って靴を履くことが問題解決の第一歩となります。
ほとんどの日本人は自分は『幅広、甲高である』と信じて疑いません。
しかし正しき履き方を理解すると『幅広、甲高』だと思っていた自分の足がむしろ『細長』くて『さほど甲高ではない』ことに気付くでしょう。
すると次は『自分の足に合う靴はどのくらいのサイズ(長さ)とワイズ(横幅)だろうか? そしてそれをどうやって確かめればよいのだろうか?』とい疑問が芽生えてくるはずです。
このような疑問に次々と答えてゆくことで、断片的な質問とその回答を列挙した『Q&A』のページに比べ、よりいっそう『靴による足の障害とその解決法』を理解していただけると考えました。
Q.1 靴屋のページより(2003年5月5日 14:16)
初めまして
「正しいサイズの選択」のページを見てフィッティングに関してかなり詳しく書かれており感銘を受けて私のサイズに関してご相談したくてメールさせて頂きました。
私は、足のサイズがかなり大きくいつも靴探しには苦労しています。
革靴では、最初のころは、足が幅広なのかと思い29.5cmの5E(超幅広)を履いていたこともあったのですが、この靴は幅広で生地が柔らかいスエード素材であったせいもあり、横幅はかなりぴったりだったのですが(今から思うと)縦がきつかったせいなのかもしれないのですが、右足の親指の爪が当たって1日はいていると親指の爪の付け根が痛くなりました。
そこで、次にH(原文はメーカー名と商品名)社のビジネスシューズでオブリーク型(親指のあたりが膨らんでいるデザイン)のUS12(多分3E)を履いていまいた。
この靴は親指の爪は当たらずよかったのですが、長年履いていたため靴底が減ってしまい新しいのを探すことになりました。
同じ型番のが既に廃盤になっていてなかったのと、オブリーク型は形がちょっとかっこよくなかったので最近はやりのスクエア型を探して現在は、HPの「正しいサイズの選択」の革靴の例として出ていたロックポート社のビジネスシューズを購入しました。
デザインがかっこよくまた、かなり履きやすかったこともあり長持ちしたいため、同じ型番(M4548)のを2足買いました。
1足は、冬場に買った為厚手の靴下用にUS14Wを買いました。
もう1足は、薄手の靴下用にUS13Wを買いました。
どちらも横幅もかかともぴったりで非常に気に入っています。
値段はこれまで買った革靴に比べると、結構高かったのですがこれまでの靴と比べると雲泥の差があるくらい履きやすく、クッションの効いていて気に入っています。
ここで、ご相談なのですが、私の場合、スニーカーを選ぶ際のサイズの目安は、HPに記載してあった
革靴とスポーツシューズのサイズ換算表(単位/cm)
革靴のサイズ | 20.0-21.5 | 22.0-24.0 | 24.5-26.5 | 27.0-29.0 |
加算する長さ | +1.5 | +2.0 | +2.5 | +3.0 |
で言えばどのくらい加算したものを目安と考えればいいか教えてください。
ちなみに、参考までに今履いているスニーカーは
- NewBalanceのUS14の4E幅広タイプ(布製)
- NIKEでランニングシューズでUS15でWIDEタイプのもの(布製)
- NIKEでバスケットシューズでUS15(布製)
- NIKEのレザーコルテッツでUS15(皮製)
1番目のは量販店の格安タイプだったためかHPにASICSの例で記載してあったように量販店タイプのはかかとのホールド感がよくないという例そのものでかかとのサポートがよくないです。
幅は一番いいのですが。
2番目と3番目のは(WIDEタイプでも)幅が狭いためか右足の親指の爪があたります。
特に3番目は本当にきつく結局2〜3回履いてそのままの状態です。
上の中で唯一よく履いているのが4番目のレザーコルテッツで皮製で皮がやわらかいこともあって爪もあたりません。
レザーコルテッツは皮製ということもあって、これからの季節蒸れ易くなるため、布製のスニーカーを購入したいと思い、そのときの目安となる参考サイズを知りたくてご相談させていただきました。
私の場合、革靴はUS13で日本サイズ31.0cmということはスニーカーは+3.0cm増しのUS16(=34.0cm)とかUS17(=35.0cm)を試してみたほうがよろしいでしょうか?
ちなみに、HPに記載のあったスニーカーの中敷に出来る足型(フットプリント)のつま先部分の空間の長さ(HP上でいうBからCの長さ)は、US15のスニーカーで2.5〜3.0cmの間くらいです。
なお、足の形としては、甲が低く、足の人差し指が親指に比べて1cm強長い形をしています。
お忙しいところ、恐れ入りますが、ご回答よろしくお願いします。
A.1 Re.靴屋のページより(2003年5月5日 20:45)
メールをお読みした限りでのお話になりますが、やはりサイズはUS16〜17相当だと思います。
HPでは27.0〜29.0cmでは+3cmと書きましたが、29.0cm-31.0cmでは+4〜5cmのトーボックスが必要です
NIKEのランニングシューズUS15(WIDE)タイプのもの(布製)及びNIKEのバスケットシューズUS15(布製)のいずれも指先がきついということでしたのでシューズの幅(Width)が足りないのではなく長さ(Size)が足りないものと考えられ、また、踵からボールジョイント(母趾球)までの距離も合っていないものと推測されます。
これらのシューズを当店HPの「正しい靴の履き方」のとおりにはいてみて土踏まずの踵側に強い圧迫感があるようでしたら、土踏まずの真ん中を下から上に向かってサポートするはずのインソールのパッド(アーチクッョン)がシューズサイズが小さいため土踏まずの真ん中からずれて踵よりの部分を局所的に圧迫しているため、と考えることが出来ます。
上記のような感覚がある場合、ボールジョイントの位置がシューズのフレックスポイント(屈曲部)からどのくらい爪先がわにずれているかで正しいサイズまでの差が分かるはずです。
Kさんの質問を機に現在は下の図に書き換えてあります。
革靴とスポーツシューズのサイズ換算表(単位/cm)
革靴のサイズ | 20.0-21.5 | 22.0-24.0 | 24.5-26.5 | 27.0-29.0 | 29.0-31.0 | 31.0-33.0 |
加算する長さ | +1.5 | +2.0 | +2.5 | +3.0 | +4.0 | +5.0 |
Q.2 お返事ありがとうございます。(2003年5月5日 20:45)
先ほど革靴で29.0cm〜31.0cmの場合+4〜5cmのトーボックスが必要とお返事を頂いたものです。
早速教えていただいたとおり、HPを参考にボールジョイントの位置とシューズのフレックスポイントの差を見てみました。
- NewBalanceのUS14の4E幅広タイプ(布製)
- NIKEでランニングシューズでUS15でWIDEタイプのもの(布製)
- NIKEでバスケットシューズでUS15(布製)
- NIKEのレザーコルテッツでUS15(皮製)
2と3では、どちらも約2.5cm強爪先側にずれていました。
あと、1.は最初から入っていた中敷は合わなかったので薄手のアーチクッションがないものに取り替えたため不明で、4.も同様に中敷に付いていたアーチクッションの位置がどうしても会わなかったため、すぐにわざわざアーチクッションを取り除いてインソールだけの状態にして履いていて不明です。
今から思うと、このアーチクッションがないことが履きやすいと勘違いしていたのかもしれないです。
■質問1
ここで、さらに質問なのですが、例えば2のシューズの場合、ボールジョイントの位置とシューズのフレックスポイントの差の大体2cm分くらい大き目のUS17(35cm)を履いた場合、御社お勧めの4.5〜5.0cmくらいとなる感じですが、素人考えでこれは爪先に空間(隙間)が多く大きめに感じるのですがそんなことはないのでしょうか?
■質問2
ボールジョイントの位置とシューズのフレックスポイントの差がない靴がいいとの考えは、スニーカーだけに適用されるものなのでしょうか?
それとも革靴でも該当するのでしょうか?
と申しますのも、革靴でロックポート社のスクエアトゥーの同じデザインのを2足買い、1足は、冬場に買った為厚手の靴下用にUS14W(32.0cm)を買いもう1足は、薄手の靴下用にUS13W(31.0cm)を買ったと伝えましたが、US14Wの方はボールジョイントの位置とシューズのフレックスポイントの差がなくちょうど同じ位置なのですが、US13Wの方は1cm弱爪先によっています。
そのためか、US13Wを履いていると、歩いているときに靴幅はぴったりで足が靴の中で遊ぶことがないのにたまにバランスを崩してよろけてしまったり(US14Wでは絶対によろけたりしないし、靴を履いていてよろけたのはこの靴が初めて)、長時間履くと両足とも小指の辺りが蒸れてしまいます。
そのため、最近は、US14Wばかり履くようになってしまっています。
ただ、これからの季節薄手の靴下を履きたいと思うのですがUS14Wではあきらかに薄手の靴下では縦も横もちょっと大きめと感じるし、、、
お忙しいところ、恐れ入りますが、ご回答よろしくお願いします。
A.2 Re.お返事ありがとうございます。(2003年5月6日 19:43)
爪先の空間はシューズの大きさに正比例して大きくなります。
また、HPに記載した修正値(爪先とシューズの先端との距離)はあくまでも必要最小限の数値です。
従って、HPで比較に使ったスポーツスタイルのシューズとスポーツシューズではこの値は異なります。
修正値はスポーツスタイルのシューズのトーボックスの大きさと思っていただければ良いと思います。
大量の発熱と発汗を外部に排出するためスポーツシューズのトーボックスは一般の靴に比べより大きなものとなっています。
US17のスポーツシューズで+4〜5cmというトーボックスは決して大きなスペースではないのです。
US14Wのロックポートを当店HPの『正しい靴の履き方』に従ってはいていただき、シューレースが十分に土踏まずを包みこむことが出来ていれば問題はありません。
特に靴下の爪先を横に広げてから履きこむことをお忘れなく。靴下で爪先が十分に開かないようですとトーボックスが広すぎると感じることがあります。
シューレースをいっぱいに締めても土踏まずを十分にホールドできない場合は、貴方にとってそのシューズはWidthが広すぎる可能性があります。言い換えれば、貴方の足は決して幅広ではなく、サイズが大きいだけということが出来ます。
参考になりましたでしょうか?
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