脚と足とを結ぶ足関節は上下に大きく動き踵から爪先への円滑な重心の移動を可能にしています。
右の図は『着地直前』と『蹴り出し』時の下脚と足の動きを抽象化したものです。 歩行のため脚を前方に出すと脚の前方に分布する伸筋群が収縮して足の甲を上方に引き上げます。 蹴り上げ時には脚の後方にある屈筋群が収縮して足の裏を後方に大きく反らせます。 |
左の図は左から空中、着地開始、着地完了時の右足の足底の傾きを爪先側より見た略式図です。
空中にある足は足底をやや内側に傾けた状態で足関節に付いています。 そのため踵の外側から最初に着地することになります。 足関節が足の内側に付いているため足の裏は外足側から内足側へ着地面を広げてゆきます。 |
歩く時、足の裏での重心は踵の後ろ外側からに始まり、外足側を前方に移動して小指付け根の関節までゆきます。
そこで内足側に方向を変え中足趾関節の列に沿って親指付け根の関節まで移動します。 そして、もう一度前方に方向を変え、親指の先で終わります。 重心の移動経路が大きくクランク上に方向を変えるのは、最初に接地する踵外側部が足関節より外足側にあるため、外傾した足底面を平行にしようとする力が働くことと、足底面の外傾により他の指に先駆け小指と薬指が着地して、足指の腹にある感覚受容器が加重変化をいち早く察知し、外足側に逃げようとする重心を内足側に押し戻すことによります。 |
左の図は歩行中の両足の重心移動を表しています。
赤の線は人の身体を左右の半身に分ける正中線を、青線は足の裏でのじゅうしんの移動を、空色の線は重心が足を離れ次の足に移るまでの空白域を表しています。 歩行中の足は、足底面の角度を自在に変えて重心を滑らかに前方に移動させ、もう片方の足に重心を送り出すことを最大の役目としています。 特に、内足側(小趾球から母趾球)への重心の移動は正中線をはさんだもう一つの足への重心の送り出しに不可欠な動きとなります。 足首から足にかけてうちわを扇ぐような動きをすることから『煽り足歩行』といわれています。 前足部に重心が移動して足趾部に体重がかかると、5本の指はおのおの加重変化を感知し斜め前方にあるつぎの足の方向に正確に蹴り出すよう押す力を調整します。 |